酒場にて
酒場というのは、様々な価値観が見られる場所だ。名前も知らぬ者同士が集まり、一時を過ごす。一般論?不幸自慢?なんにしても社会の縮図に思え、じゃあ自分はどうだと振り返るも、他人事とまたフリダシに戻る。しょせん、酔った席の話し。
「結婚するなら、年に一回は海外旅行に連れていってもらえるぐらいの財力がある人じゃないとダメだよ。金は大事、そうじゃないと女性は幸せになれない」
……アジアにも工場を持ち、200人を束ねる会社社長。しかし来年は半分をリストラするとか。
「男は信用できない。絶対ウソを付く生き物だから」
……スナックのママ、未婚。
「浮気を知ったら、男じゃなく相手の女に話しを付けに行く」
……ホステス、29歳、バツ1
「俺は素人の女じゃもう満足できないんだよね、話してて面白くないし、底が見えるっていうか」
……独身男性35歳、20代はキャバクラにかよいつめ、今だ彼女募集中
「浮気をしてもかまわないの。男の人はおつき合いもあるから。ただ、私の知らない人にしてね、と結婚する時お願いしたのよ」
……ゼネコン社長婦人、60代
「J◯なんて世間知らずで頭でっかちの二代目ボンボンの仲良しサークルだから。あんなところに入らなくていいと息子には言ってある」
……自らはロー◯リークラブの会長を勤める社長。
「惚れた男の弱味と言われればそれまでだけど、どうしても悪い子と思えないし、こんな俺を好きになってくれたから」
……彼女に妊娠したと告げられ、中絶費用と生活費で40万を渡し、病院の領収書など見せてもらえず疑い始めたと悩む25歳。
「スロットはやめられない。どれだけ負けても、もうやめようと思う気持ちに、このまま負けてたまるかって気持ちが勝っちゃう。」
……男性32歳、トラック運転手
「子供はかわいいよ、奥さんはいらないから子供だけは絶対手放したくない。この子のためならなんでもできる。女は子供を産む生き物なんだから、自然の摂理に逆らっちゃダメ、子供を産まないと」
…単身赴任中に彼女を作ったサラリーマン、40代
ドラマはブラウン管の向こうではなく、酒場にあるのか。それぞれに言いたいことはあるが、反論をせず、共感する振りをして聞く。ただ聞く。助言などできる立場ではない。しても欲しくはないだろう。「わかります」と言ってみたところで「お前に何がわかる」と突然キレたりするのも酔っぱらいだ。
「ありがとう、また来るね」と言う背中を見送る。そしてシラフの頭でその人を思う。他人の価値観は、私の何を形成する材料になるのだろう。
みんな大変なんだと共感したところで、そんなことでは自分の悩みは軽減しない。不幸な者同士ひかれあい、なぐさめに体を温めあっても一時のことだ。
ため息は毒ガス。一緒に吸えば中毒になる。不幸な自分をかわいそうと思い、そんな自分に酔っているのは、這い上がる必要がないから楽だ。
だから、私の中のドロドロしたものは涙で流す。リアルでは弱った顔などするものか。つくろってみせる。もうダメだとプッツリ切れるなら、それでいい。そこまでだということだから。
この先も読みたーい!!
●きみすけさんへ
コメントありがとうございました!思い出してまた書いてみます!w