ピンクな宴会:野球拳の一回戦

ピンクな宴会:野球拳の一回戦

「宴会コンパニオン」というアルバイト

地図をたよりに車で走ること40分。さびれた田舎町の仕出し割烹屋。地元の新年会、20人弱の男達。とある知り合いから安請け合いしたバイトは「宴会コンパニオン」だった。

現場へ出発

「コンパニオンなんて、若い子がやるんじゃないんですか?」
「それがさー、若い子もいいんだけど、年輩の人達は話しが合わないから30代がいいって言うのよ。ほんとに助かるわ。2時間で7,000円、車代3,000円つけるから。」

初めて顔を合わせる二十歳の子をひとり乗せて現場へ。下手(したで)に出て話しかけ、いろいろ聞き出す。もう4年やっているというベテランだ。(17歳からかよ)。かなりゆるい接客でいいらしく、「お高くとまってる感じより、ぶっちゃけた方が受けますよ」とアドバイスされる。彼女いわく、店に勤めるより派遣コンパニオンの方が短時間で額がいいし、客とはその時だけの付合いでいいから楽なんだそうだ。

会場入り

駐車場で残りのメンバーと落合う。20代前半の、かわいらしい子達だ。仲居に挨拶し5人で宴会場に入ると「待ってました!」と拍手。三つ指ついて自己紹介して散らばる。女の子達は慣れている様子でターゲットを決め、ビールをつぎ出した。一番若く見える男に「幹事は誰?」と聞き、とりあえずえらい人のとなりを陣取る。

ママの言った通りだった。ワキアイアイと盛り上がってくると、口数の少ないタイプや、ノリに付いていけないタイプがあぶれてくる。そこをフォローする役に回ると、ポツリポツリと「俺、酒あんま飲めないんだよね」とか「うちは縦社会だから、付合いは参加しないとさ」などとグチが出て来る。そこで「お姉さんぐらいがちょうどいいよ。ずっとここにいな。茶わん蒸し食うか?」となる。

たしかに楽かもしれない。みんな酒が入ってバカ騒ぎ、その場を盛り上げてサッと帰ればいい短期決戦。客を呼ばなきゃ、指名取らなきゃ、のプレッシャーがない。

お座敷遊び「野球拳」

安請け合いを後悔する

ほどなくして、リーダー格の子から「今日は脱げないんですよね?」と耳打ちされる。
は?脱ぐ?……安請け合いをここで後悔する。彼女達はピンクコンパニオンだったのだ。後から聞けば、ノーマルなコンパニオンクラブとして営業しており、客からの要望で「しょうがないな~、特別ですよ?」と上乗せ交渉してセクシーなサービスをする、というスタイルらしい。

野球拳を見るのは初めてだった。女の子が負けると千円のチップをもらい、1枚づつ脱いでいく。どちらかが裸になるまでの勝負だ。22歳の彼女はものすごく痩せていて、ブラを取ると、小さな胸は小学生のようだった。スーパー銭湯以来、3人の他人の全裸を見た。客は大喜び、どんどん盛り上がって来る。

バカ騒ぎが終わると、気が付けばあちこちで半裸にされた女の子達に客がむらがっている。業界では「スーパーコンパニオン」と呼び名が変わると、宿泊の宴会で酒宴の一次会が終わった後、それぞれが個人交渉をして客室まで行くらしい。みんな馬鹿ばっかりだ。でも、同じ場所にいる私も同じ馬鹿だ。馬鹿になれる女の子と、馬鹿な客。カオスな光景である。

お姉さん、タイプなんだよな

振り向くと、背後から迫る客一人。31歳の土建業、結婚して10年、子供は2人。もう奥様には相手にされず、2年セックスレスだと言う。ま、いろいろあるよね……と酒をつぎ、はぐらかす。

「マジ惚れた。今度飲みに行こうよ」
話して10分で恋に落ちるわけがない。酒はやっぱりキチガイ水だ。世の奥様達は、もう少し旦那さんと会話をする機会を作った方がいい。こんな馬鹿から金を引出すのは簡単すぎる。奥さんがしてあげないことを全部用意してやればいいのだから。

あっという間に2時間は過ぎた。半裸の子が服を着るのを待ち、また三つ指をついて会場を後にした。1万をもらい、次の会場へ。今日は2回戦なのだった。

「ピンクな宴会:年齢詐称の二回戦」へと続く→

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